「対話型ファシリテーションの手ほどき」レビュー
「対話型ファシリテーションの手ほどき」レビュー。
会議等で必要とされるファシリテーション。
全体の流れをデザインしながら合意形成にもっていく力は重宝される。
本書は、個別の対話の中で有益なやり取りを可能にするメタファシリテーションという手法について説かれている。
具体的にはどのような手法なのか?
目的
読書の目的は以下の3点だ。
ファシリテーションの考え方を深めて使い倒すというイメージになる。
- 対人関係でのコミュニケーションにおいて、自身の考えを伝えながら相手の根本的なニーズに踏み込むことがあまりできていない部分を改善する
- 議論を推進するファシリテーターとしての技量を向上させたいという思いから、対話を重視する手法についても知見を広げたい
- より一層のビジネス面での発展や成長を期待し、社会にも必要とされるノウハウを提供できる人物になりたいと思った
「対人関係でのコミュニケーションにおいて、自身の考えを伝えながら相手の根本的なニーズに踏み込むことがあまりできていない部分を改善する」
ビジネス上で誰かと話をして相手のニーズを汲み取ってソリューションを提供する。
これは、ビジネスにおけるサービスの基本であり極意である。
自分自身コミニケーションがお世辞にも上手というわけではない。
その中でまずは自分の考えをどこまで追求して考えられるかと言う部分にフォーカスを当てて今まで取り組んできた。
一方で、自分だけの考えで物事が進むわけではなく、相手との折衝の中で意見をぶつけ、合意形成したのちに実行に移っていくと言う要素が残ってくる。
自分の理想を見据えたときに、考える力を高める作業は引き続き継続するとして、相手に対してどこまで引き出してニーズを組んだ提案ができるかと言う部分について取り組まないといけない。
その意味では、メタファシリテーションと言う手法を学ぶ事は、対人関係を円滑に回すだけではなく、相手のニーズやウォンツを探り出し、的確なソリューションを提案することにも繋がる。
そして、もし相違点があれば、お互いに話し合った上で、新しいもう1点、あるいは妥協点を見つけ出すこともできるだろう。
「議論を推進するファシリテーターとしての技量を向上させたいという思いから、対話を重視する手法についても知見を広げたい」
対人コミニケーションの中で相手と交渉することも当然必要。
別の切り口でビジネスを見るケースがある。
それは、自分が第三者的な立ち位置からビジネスに入り込み、そこにいる人々の合意形成を促す走りてたと言う役回りをすることである。
ファシリテーションは、コンサルティングをする、あるいはプロジェクト内で話を進める際にも使える手法である。
ファシリテーション能力が高ければ、AさんとBさんの考えを汲んだ上で別の視点を持ち出して話をしたり、あるいはお互いに嫌な思いをせずに話をまとめることができる。
会議の促進役としてその場を円滑に回すことができれば、この会議体にとっては時間を短縮することもできるし、さらに有益な考え方をして結論を導き出すことができる。
今後の人生、ビジネスにおいてもファシリテーションと言う能力は必要性を増してくるし、誰よりも先んじて能力を身に付けることが重要になってくる。
「より一層のビジネス面での発展や成長を期待し、社会にも必要とされるノウハウを提供できる人物になりたい」
ファシリテーションは、ビジネスだけではなくプライベートにも役に立つ。
家族内で何か揉め事が起こったときに、それぞれの意見を把握し別の考え方を提示したり、合意形成できそうな落としどころに結論を導くこともできる。
すなわちプライベート、家族の平和につながるのである。
このように、ビジネスやプライベートにおいてもファシリテーションの役割は強まってくる。
有効な力を持つファシリテーションを、自分の力にしつつ、まだこの技術を知らない人に伝えることができれば、それぞれの会議体はより一層円滑になるだろうし、時間を有効活用した上でそれぞれの時間を有効に過ごすことにも寄与するだろう。
感想
- 通常の会話にあたっても使えるスキルであり、事実質問を積み上げたうえで問題点に気付いたり真意に近い話をすることができるので身に付けたい
- 一般的なファシリテーションというより、スポーツやビジネスでのコーチングというニュアンスを受けるが、突発的な対応がイメージが湧かない
- ファシリテーションのアプローチの方法論として、一般的なファシリテーションとともに共存できる
「通常の会話にあたっても使えるスキルであり、事実質問を積み上げたうえで問題点に気付いたり真意に近い話をすることができるので身に付けたい」
事実質問と言うと、どうしても刑事の取り調べをイメージしてしまう。
しかし、本書でも述べられているように、なぜどのようにという言葉は相手の自由回答を促し、そこには本来思っていない自分の気持ちが入ってくる場合には往々にしてある。
そこで、事実質問をすることで、まずは事実を確定させた上でさらに深掘りしたり横に展開することが可能になる。
事実に基づくさらなる質問は、さらに物事の理解を深めた上で、さらなる展開に結び付けることができる。
そして、この手法で一番重要なのが、相手が事実を積み上げることによって物事の矛盾に気づき、自ら軌道修正を図ることに繋がるという部分だ。
どちらかと言うと質問者としては事実を聞き出して、現状把握をすることがまず大切である。
その上で自分が導き出している答えと相手が気づいた答えを照らし合わせて、さらにそれぞれの答えの間にあるギャップを埋めていく作業も可能になる。
メタファシリテーションは、一般的なファシリテーションの技術ではあまり聞かない事実の積み上げと言う部分にフォーカスしていて、自分としては新たな気づきを得たし、ビジネスやプライベートでも活用していきたいと思った。
「一般的なファシリテーションというより、スポーツやビジネスでのコーチングというニュアンスを受けるが、突発的な対応がイメージが湧かない」
また、ファシリテーションというより、個人個人と相対するという意味合いにおいてスポーツ等で実践されるコーチングのようなニュアンスを受けた。
コーチングでは対象者に対して気づきを与えて行動を変革させる意味合いがある。
それはティーチングではなく、その人を引っ張っていく、導いていくと言う考え方でコーチングと呼ばれる。
「ファシリテーションのアプローチの方法論として、一般的なファシリテーションとともに共存できる」
相手を導くと言う根本的な部分が同じで、そこに至る過程を言葉だけで進めるのかメタファシリテーションで、一方、プレーを再現しながらどうすべきかという問いかけを進めるスポーツとは違いがあると認識できる。
同じ問いかけにしてもなぜどのようにと言う言葉がよく出てくるスポーツとは異なり、起きた事象を取り上げてそれをどのように捉えさせるか、相手の気づきを事実質問を用いているメタファシリテーションは特異な存在と考えられる。
今後どうするか
- ファシリテーションのスキルが高い人や協会のセミナー参加を通じて自身の能力を高めていく
- 対人関係において、メタファシリテーションのスキルも使えるように意識して事実質問を積み上げたうえで会議体を回せるように努力する
- 自分の学びを家庭にも持ち込んで、子育てや家族間での成長や意見交換に役に立てる
「ファシリテーションのスキルが高い人や協会のセミナー参加を通じて自身の能力を高めていく」
自分がまだまだファシリテーションの能力が高くない。
だからこそ引き続き学ばないといけないし、いろいろ開催されているセミナーにも参加して具体的に自分の力として定着させたい。
能力が高まればさらに見える景色は変わってくる。
話の流れを読んだ上で適切なコメントができるだろうし、会議がより一層効率的になるように配慮しつつ参加できるだろう。
「対人関係において、メタファシリテーションのスキルも使えるように意識して事実質問を積み上げたうえで会議体を回せるように努力する」
自分の能力として身に付けることができれば対人関係もより一層うまくいくだろうし個人として生きやすくなると思う。
自分はコンサルティングを強化していきたい思いがあるので、第三者的な立場で組織に入ることもある。
だからこそ、自分の思いだけじゃなくたくさんの人の思いを引き出して、よりベターな答えを見つけることができるようにならないといけない。
「自分の学びを家庭にも持ち込んで、子育てや家族間での成長や意見交換に役に立てる」
また、嫁さんや子供の相談に乗ることも上手くなるだろう。
家族個人個人がよりハッピーになれば、家族全体としてもハッピーになれるだろう。
ファシリテーションのノウハウを学ぶ事は、単純にビジネスに活かす事だけではなく、何人にも当然ながら良い影響与える。
これはファシリテーションを学ぶ人にとって自分の人生を豊かにすると言うことと同義になる。
メタファシリテーションは、初めてその考え方の1つであり、全てでは無い。
たくさんの考え方を身に付けた上で、自分に必要と思われる手法を使って会議や、コミュニケーションを円滑に進められるようになりたい。
気になった部分
簡単な事実質問を使った対話術です。5
「なぜ?どうして?」と聞きたくなったら、それをいちど飲み込んで、「いつ?」「どこで?」と言う質問に置き換えて質問すべし 9
5WのうちのWhyは避け、残りの4つ「When =いつ」「Where=どこで」「Who=誰が」「What=何を」の4つに置き換えるように努めてください。中でも1番簡単かつ強力な質問が「いつ?」というものです。何か相手が問題を語り始めたら、「どうして?」と原因や動機を尋ねるのではなく、「1番最近それが起こったのはいつですか?」、と尋ねます。さらに「その前は?」、と聞いていくと相手はどんどん思い出してきます。次には、「それはどこですか?」、「誰と(あるいは誰が、誰に)?」、「何を?」、などと聞き込んでいきます。そうしているうちに、相手は、原因や動機、あるいは事態の捉え方についての自分の思い込みと現実の間のギャップに気づき、自らそれを語り始める、というのがこの対話術の基本中の基本です。11
つまり「いつ?」「どこ?」「誰?」「何?」で聞いていけばいいのです。15
「朝ご飯にはいつも何を食べますか?」の質問は一見すると事実を尋ねているようでいて、実は、「朝ご飯にはいつも何を食べてい(ると思い)ますか?」の『思いますか?』の部分が省略されているということです。29
対話型ファシリテーションは、簡単な事実質問によるやりとりを通して相手に気づきを促し、その結果として、問題を解決するために必要な行動変化を当事者自らが起こすように働きかけるための手法です。基礎にある考え方は、問題の当事者の「気づき」が「行動変化」のための大きなエネルギーとなるというものです。41
「自分で見つけた言葉を使う」という人間の行動原則が、対話型ファシリテーションの重要な基礎原理となっています。47
最後の一言(気づきの言葉)を相手が自分で言うまで、待つ必要があるわけです。47
公式(1)相手が「〇〇の問題で困っている」などと語り始めたら、まず(A)「1番最近、誰がどのように困ったか?」を訪ねるべし。あるいは(B)「それを解決するためにどんな努力をこれまでしてきたか?」を聞く。その目的は、「それは本当に解決すべき問題なのか?」を確かめるためである。68
「1番最近その問題(仮題)が起こった(顕在化した)のはいつですか?」と言う具合に1番最近のことから聞いていくやり方です。ここから、さらに、「その前は?」「その前は?」と聞いていくと、相手はどんどん具体的に思い出します。76
あえて「なぜ?」と尋ねることで、相手の誤った固定観念を引き出し、事実質問を使ってそれを検証することで、新たな学びと気づきを引き起こすという方法を取ったわけです97
自らの経験の中に埋もれた宝を探し出すためには、誰かほかの人に上手に聞いてもらうことで、絡まった記憶の糸を解きほぐすということが必要になります。ここでも「考えさせるな、思い出させろ」というファシリテーターの心得が重要になってくるわけです。100
対話型ファシリテーションの手順としては、まずは当人の経験を十分に振り返ってもらい、他者の経験に学ぶように持っていくのはそれからとなるわけです。102
会議や議論の場に臨んだら、まずは、とにかくこの「空中戦と地上戦」の違いを認識するように努めてください。106